合気道を護身術にするための正しい捉え方
人通りが少ない道は、街灯もあまりありません。
夜に女性が一人で歩くにはとても怖いと感じるでしょう。
一人の女性がそんな道を歩いている時に後ろからつけてくる男がいます。
嫌な予感がした彼女は少し歩みを速めます。
しかし、その男も同じようにスピードを上げて追ってきました。
恐怖心を持った彼女は、さらに小走りになって逃げるように進んでいきます。
ですが、男もスピードを上げて走ってきました。
そして次の瞬間に襲われることになったのです。
彼女は自分の身を守れると思いますか?
また、小学生2年生になる子供たちが公園で遊んでいました。
何人かの友達も一緒に遊んでいましたが、ある男の子がトイレに行くためにその集団を離れることになりました。
トイレは少し離れたところにあります。
公園にいる他の人たちからも少し目が届きにくいところです。
それを狙って様子を伺っている男がいました。
その男はその子に声を掛けてきました。
そして、その子を連れ去ろうとするのです。
その子は自分の身を守れるでしょうか?
こういった状況に遭遇してしまった場合、護身術を習っておけば身を守れると思いますか?
掴みかかってくる相手の手を振り払い、投げ技を決めたり、関節を押さえたりといったことができるでしょうか?
断言します。
女性や子供であるなら間違いなく無理です。
体格や体力に絶対の差がある場合には、相手を攻撃するような護身術は役に立ちません。
相手を襲うなら、圧倒的に弱そうな人を襲うので、体格差があるのは大前提です。
体格差がある場合に身を守ることができない。
これは合気道に限らず、空手やボクシングなど格闘技全般に言えることです。
もし、相手を倒すことを目的にやるのであれば、少なくともその道のプロやそれに近いレベルになる必要があります。
そこまでやるなら、相手を攻撃するのに役立ちます。
ですが、そこまでやるのは本当に大変です。
ちょっとした習い事では、その道のプロ級のレベルまで持っていくのは不可能です。
多少の兵法を習っても、却って力を持ったと勘違いしたり、調子に乗ってしまって危険になる場合が多いのです。
『生兵法は大怪我のもと』です。
ですが、それは犯罪を想定した場合の話です。
子供が強くなることでイジメられないようになりたいというのなら、護身術は役に立つと言えます。
体格差がそれほどないのであれば、武を身につけることで相手よりも優位になることができるのです。
攻撃されることへの抵抗力をつけておくことも意味がありますし、それを打ち払う力になります。
そういったことを目的にする場合に、
最もオススメしたいのは合気道です。
合気道は、相手の攻撃に対して技を行います。
基本的に自分から攻撃を仕掛けることはありません。
相手が攻撃してきたのを、さばいたりしながら制します。
だからこそ、護身になるのです。
いたずらに攻めることをしないので、不必要に人を傷つけることもしません。
イジメる側に回ることもありません。
また、合気道ではケガをしないために受身を取ります。
相手の投げる方向に合わせて自分の体を持っていきます。
自然体で相手の投げを受けることを意識して稽古するので、いざという時に体が反応するようになります。
それは事故などの防止にもつながるという結果を生むのです。
さらに、稽古を積み重ねていくことで危機意識が高まるという側面もあります。
間合いの稽古によりこれ以上はマズいといった感覚も磨かれます。
そうなれば、危険そうなところには最初から近づかないといった考えにもなります。
それらの意味でなら
合気道は護身のための手段
になります。
護身術というものを正しく捉えて、ぜひ目的に合った武道を始めてほしいと思います。
0コメント